P3、P4での「国連に残るか?」という決断
国連のインターナショナルスタッフのGradeはP1から始まり、PランクがP5まで、その上はDランクになり、D1、D2、そしてさらにその上にASG(各部局のトップクラス)という構造になっています。
基本的にはDランク以上がマネジメントという立場に近いスタッフで、P2が大体一番下っ端です(P1は一応あるけれど、人数が非常に少ないので大体P2が一番下っ端になる)。
さて、この各グレード毎にどれぐらいのスタッフがいるかというイメージは、大体以下のようになります。
P1はほとんどいない、P3はP2の倍ぐらい、P4はP3と同じぐらい、P5はP4の半分、D1はP5の1/3ぐらい、D2はD1の1/3、ASGはD1の半分。。。というような感じです。
それぞれの機関によって多少増減はあっても、「P2からP4までは時間さえかければ大体みんな上がれるけど、そこからはかなり厳しく、大体の人はP4か良くてP5で人生終える!」というのが基本的なイメージになります。
しかも上のポジションに行くほど外部から横滑りで採用される割合が増えていきますし、一方でずっと国連にいた人間が外部で職を得るのは難しくなっていきます(どの機関かにもよりますが)。
つまり、P3やP4の時点での「国連に残り続けるか?」という決断は重いものだということです。
JPOで国連に入ることの注意点 その1
JPO募集ももう締め切り近いですが、JPOで国連に入るとき、いくつか考える点があると思います。
国際機関に入ることだけを目標とするのであればJPOが一番手っ取り早いし確率が高いであろう、ということは大前提として、いくつか注意点を。
- JPOは必ずしも良いポストばかりではない。上司やオフィスによってはJPOをコピー取り程度にしか考えていないこともあるし、行ってみたら実は仕事がろくになかったとか、そういうこともある。特に外務省選考の場合、どの国際機関にいくか、部署に配置されるかは結構運によるところがあるので、自分の希望とは全く違うこともあり得る。
- JPOはP2(基本、一番下)のポジションで始まるし、JPO2年後にいきなりP3に上がれる人は結構少ない。20代や30歳前後ならともかく、今まで10年近く勤務経験があるような人にとっては、JPOとしてP2で入るのはもったいないということもある。
- 自分が望むようなポストや、良いポストでなかった場合、2年間拘束されるのはキャリア上結構ダメージが大きい。NYのようにネットワーキングしやすい場所であれば、割り切ってネットワーキングに精を出すという対応もできるが、小規模なカントリーオフィスだとそれもそんなにままならない。必死に訴えればJPO中に違うポジションに移ることも不可能ではないが、いずれにせよ時間と体力の浪費はきついし、なによりそういう状況は精神的に相当きついと思う。
- JPO後は当然国際機関に残ることを希望するという前提で周囲が動く。日本政府はそのためにお金を出しているのだから当然だし、他のJPOも大体国際機関で働くことをずっと希望してたり、夢だったりするような人が多いので、当然国際機関になんとしても残りたい、どうやって生き残るかという方向になる。しかし、国際機関のバジェット自体縮小傾向にある中で、どうしても国際機関で生き残らなければいけないのだという感覚だと精神的にかなりきついのではないかと思う。中満泉さんが典型例であるように、最近は一旦民間やNGO、アカデミアに出てから上のポジションで戻ってくるという人も多い。今や国際機関の大方針が「非伝統的パートナー(民間等)との連携促進」になっていて、今後もその流れはどんどん強まっていくと考えられる中で、国際機関にしがみつくというキャリアパスにどれだけ意味があるのか、個人的には疑問がある。
特に4番目は個人的に思うところがあり、ずっと国際機関の閉じられた世界で働いてきたシニアな人達はどっぷり国際機関の論理に浸かっていて、他の組織とのネットワークも少ないし、意思疎通もできないように見えます。
どうやって民間やNGO、アカデミアと連携するか、どうやって非伝統的な資金を動かすかが一番のテーマとなってきている中で、ずっと国際機関で働き続けるというのは長期的に見ると結構リスキーな気がします。
国連(というか日本以外?)で働いて一番良かったなあと思うこと
この記事を読んでいてつくづく思ったことなのですが。。。
私が今、国連で働いていて何よりも良かったなあと思うのは、給料でも無ければ国際公務員としてのやりがいでもなく(もちろんそれらはあるのですが)、きちんと家庭と仕事を両立できること、そしてそれが当たり前のことだとして周囲から理解されていることです。
日本で働いていた時は激務な業界でもあったので、深夜残業は当たり前、終電前に帰れたら今日はラッキー!というような働き方でした。
仕事は仕事で楽しかったですし、体力的にも20代前半で余裕があったころで、何より独身だったのでそれに対し何も思うことはありませんでした。
むしろ、みんなそれぐらい熱心に働いてしかるべきで、定時帰りしたいなんて言うやつはやる気がない、くらいに思っていましたし、それが職場の雰囲気でもありました。
でも、最近つくづく思うのですが、独身で仕事に燃え尽きるならともかく、共働きで家事を分担する必要が出てくると、絶対にそれではまわりません。
日本のように8時とか9時まで働くのが当たり前で、そこに長い通勤時間で家に着くのは10時過ぎ、なんていう働き方は、結局どちらか一方が専業主夫/主婦になる、最悪パート兼業であることを前提にした働き方だと思うのです。
女性の働きやすさと男性の家事への参加しやすさはコインの裏表のようなもので、どちらかを蔑ろにしてはどちらも成り立ちません。
友人と話していると、女性が家庭に専念すべき、というようなことを言う人は私の世代ではさすがにあまりいませんが、男は仕事ができてなんぼ、という意見は特に女性から結構耳にします(仕事できない人は尊敬できない、というような意見が多いです)。
上記の記事のように、社会の端々からも「男が家庭に参加することはおかしなことだ」というメッセージがあふれ出ているように感じます。
PTAで、「あとはお母さん方で。。。」というのは、「女が家事育児を切り盛りすべきだ」というメッセージであるとともに、「男は仕事に専念しとけばよい」というようなメッセージにもなってしまっていて、結局男女どちらに対しても凄く差別的な発言になっていると思うのです。
でも、今の職場では全くそんな雰囲気はありません。仕事を夕方に切り上げるのは当たり前ですし、逆に、男が平日家事をやっていると言っても偉いと言われることもありません。
仕事を夕方には切り上げて家事をやるのは、共働きであれば当たり前のことだからです。
日本食や温泉が恋しくなることが多々あっても、結局今の職場で良い、と思えてしまうのは、労働環境の面がとても大きいと感じます。
世銀JPO/国連JPO
今年もJPOが始まりました。
今年からは世銀のJPOにも外務省が広報は連携しているみたいです。
その影響か、世銀のJPOも国連JPOに合わせて35歳以下となっています。
(去年までは32歳だった)
さて、一口にJPOと言っても、国連もあれば世銀もあるし、国連の中でもUNDPやWFPは他と選考過程が違います。
A. 国連JPO(外務省選考)
①書類提出(具体的なTORは無い)
②外務省の面接
③受入先国連機関/部署との面談
この場合、合否は基本的に②で決まります。②の後、外務省がどこに派遣するか調整、受入先と面談するというパターン。
B. 国連JPO(国際機関選考)
①書類提出(具体的なTOR有り)
②国連機関/部署との面接
この場合、書類通過後は完全に国連機関との採用プロセスになります。
外務省選考の場合、外務省との面接が鍵ですが、国際機関選考の場合は当然国際機関との面接が一番大事です。
C. 世銀JPO
①書類提出(具体的なTOR有り)
②世銀東京事務所と面接
③世銀本部と面接
世銀JPOは最初から最後まで完全に世銀との採用プロセスです。
管轄の財務省は(少なくとも面接プロセス中は)ほぼ関わりなし。
・専門性、面接のハードル
求められる専門性は、C>B>>>Aという感じです。
というより、Aの外務省選考の場合、外務省との面接を通過すれば後は外務省がその人に適したポストを探す/作る等してくれるので、特定のポストに応じた専門性云々という話にそもそもならず、そこのハードルは低いのです。
(もちろんだから専門性が要らないというわけでは全くありませんが)
一方、国際機関(世銀/UNDP/WFP)との採用プロセスの場合、最初から応募するポジションが決まっていて、TORがあるわけですから、当然そのTORに応じた専門性を持つ人を取るという発想になります。
特に世銀はかなり専門性を重視している印象があります。
・どういう人が受かってるのか?
①専門性(その分野での経験や資格)
②海外経験(海外院で修士、海外現地企業勤務経験等)
この3つがおそらく経歴を見る上では重要視されていると思います。
後は面接をどれだけうまく話せるかと運です。
国際機関職員(国連)の労働条件
国際機関職員(国連)の労働条件@2018年時点
・給料:P2レベル(JPOは大体P2での採用)でNY勤務だと、大体年間75,000ドル(日本円850万)ぐらいです。詳細はSalCalcIntで計算可能。
・税金:国際機関職員は税金かかりません
・年金:国連年金に給料の10%行かないぐらい天引きされます
・保険:年間でNYだと大体年金よりちょっと安いぐらい
・住宅手当:月3,000ドルのところに住むと大体900ドルぐらい出ます(詳細はRentalSubsidyで計算可能)
全体合わせると、手取りで月6,000ドル、年72,000ドルぐらいです。
日本円だと800万円ぐらいなので、税前1100万円前後ぐらいのイメージでしょうか。
・一時金
引っ越し等の一時金が単身NY勤務だと大体25,000ドル、妻帯者ありで35,000ドルぐらい出ます。これ結構でかいです。
・年間有給休暇
病気休暇等とは別に30日つきます。消化率はかなり良い、というか特にヨーロッパの人とかほぼ100%消化してるイメージです。
クリスマス-年末年始前後や夏などは普通に1か月ぐらいいなかったりします。
・その他福利厚生
教育費の75%まで出ます。ちなみに国連が持ってる学校とかがあるので、大体のスタッフはそこに子供を通わせてるイメージです。
・勤務時間
大体9時-5時ですが、人によって8時-4時とかにしてたりします。
総じて日本の一般企業よりはホワイトだと思います。残業は無いか、しても6時、最大7時って感じです。
・国連以外の国際機関
世銀は給料は国連より良いものの、教育費等が薄いと聞きます。
国連でもミッドキャリアに日本政府のファンディングがつくプログラムが始まった
ついに国連でもミッドキャリアに日本政府のファンディングがつくプログラムが公式に開始されました。
http://www.mofa-irc.go.jp/dl-data/2017boshuyoukou.pdf
国連でも、というのは、ミッドキャリアを対象にしたプログラムは世銀ではずっと前からやっていたからです(下記は2017年度の募集。たぶん来年も募集でると思うけど。。。)。
しかし、世銀の場合、一度財務省からファンディングを受けてしまうと、それ以後財務省からのファンディングは受けられなくなってしまうというルールがあります。
要は、JPOで世銀に入ったりすると、その後財務省からのファンディングは受けられない!つまりミッドキャリアの日本人採用プログラムに応募できない!
JPO後の生き残りは結構大変なので、一回こっきりしか受けれないというのは結構なデメリットでした。
ちなみに国連は外務省の管轄、世銀は財務省の管轄なので、そこのファンディングは区別されています。つまり今までは、
国連のJPO→世銀のミッドキャリア:問題なし
世銀JPO→世銀ミッドキャリア:世銀で財務省からファンディングを2回受けることはできないので、ダメ
国連あるいは世銀JPO→国連ミッドキャリア:そもそも国連のミッドキャリアファンディングは無い
という状況だったわけです。
ところが、今回の国連のミッドキャリアは。。。
6 注意事項
●求める人材像
応募にあたっては、JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)経験者や、国際機関での勤務経験を有する方の応募を歓迎しますが、必須要件ではありません。上記3の条件を満たす限りにおいて、年齢や職業等を問わず応募を受け付けます。
おお!なんかむしろJPO経験者歓迎、みたいな感じです!!!
これはつまり、世銀JPO→国連ミッドキャリアとか、あるいは国連JPO→国連ミッドキャリア→世銀ミッドキャリア(世銀はかなりシニアなレベルの日本人採用もある)とか、そういうことが出来る可能性があるわけで、私のような開発畑で食っていこうという人間にはとてもありがたいのです。
外務省は国際機関の日本人を増やしたいらしいですが、ミッドキャリアのプログラムを、こうしてJPOにも門戸が開いた形で行うのは、そのためにはとても良いことだと思います。
このプログラムが来年以降も順調に続いて、拡大していくことを祈ります。
ケイマン諸島旅行メモ レストラン、アクティビティ
ケイマン諸島に休暇で行ってきました。
日本人にはあまり馴染みないですが、アメリカ人には東海岸から近いこともあってカリブ海のビーチは結構人気があります。
あまり日本語で情報がないので、備忘録的に旅行記を書いておきます。
•空路
ニューヨークからケイマン航空で直行便が飛んでいます。4時間程度。
復路はユナイテッドでニューアークだったので、他の航空会社でも直行便はあるようです。
オフシーズンなら往復五万円くらいで取れます。
空港はグランドケイマン島に行くならオーウェンロバーツ国際空港に着きます。
グランドケイマン島の西側に位置していて、ホテルが多くあるセブンマイルビーチあたりには大体タクシーで20分ぐらいです。
•通貨
ケイマンドルがありますが、普通の米ドルがどこでも使えます。
•交通
タクシーかレンタカー。タクシーはそれなりにお高く、10分ぐらいで20米ドルぐらいします。
レンタカーは日本の免許証でも貸してくれたりするらしいですが、念のため国際免許証を持ってくることをオススメします。
アクティビティをする場合、主要なホテルであればアクティビティ会社が送迎サービスをしてくれることも多いです。
•ホテル
今回泊まったのはKimpton Seafireというホテル。
結構新しく出来たホテルで、設備も綺麗、サービスも良く、なかなか良かったです。
写真はホテルが面しているビーチの写真。
ホテルにアクティビティやレストラン紹介、予約用のデスクがあり、とても頼りになりました。
この手のデスクは有名どころのホテルなら大体あると思いますので、頼りまくることをオススメします。
•食事
島なのでシーフードのレベルが高いです。それも単にグリルしただけ、とかではなく、ちゃんとした料理が出てきます。
(イタリア人のレストランオーナーが多いそうなので、そのおかげ?)
Catch (http://www.catch.ky/)
今回1番美味しかったレストラン。
メインのブイヤベースは魚介の旨味たっぷり。
日替わりおすすめだったパッパルデッレは自家製麺にエビやキノコのソースがよくからまり、今まで食べたパスタで一番美味しい!というぐらいでした。
Calypso Grill (http://www.calypsogrillcayman.com/)
キャッチの正面にあるレストラン。
ここも魚介系非常にレベル高かったですが、デザートのsticky toffee pudding
がとても美味しかった!
カラメルっぽい風味がきいたふわふわのスポンジに、温かいソースをかけてあって、アイスクリームと一緒に頂きます。
食感と甘さと香りがとても良いコンビネーションでした。
ちなみにキャッチもそうですが、港のすぐ近くにあるのでとてもお洒落で雰囲気良いです。
•Sunshine Grill (http://sunshinesuites.com/sunshine-grill/)
Sunshine suits resortというホテルのレストランですが、ホテルに泊まってなくても入れます。
キャッチやカリプソよりお値段安め、雰囲気もざっくばらんな感じですが味は確か。
フィッシュタコスや、フレンチトーストが美味しかったです。
•アクティビティ
リゾート的なアクティビティは一通りできますが、有名なのはエイと一緒に泳ぐアクティビティ。
沖合の方に浅瀬になってる部分があり、そこまでボートで行くとエイがいっぱいいます。
ここのエイは毒がなく大人しいため、触っても大丈夫。
あとはウミガメの博物館のようなものも有名ですが、こちらは行かなかったのでわかりません。
日本人にはあまり馴染みないですが、静かでご飯も美味しく、過ごしやすいビーチなので、アメリカにいらっしゃる方などにはオススメです。