JPOで国連に入ることの注意点 その1

JPO募集ももう締め切り近いですが、JPOで国連に入るとき、いくつか考える点があると思います。

国際機関に入ることだけを目標とするのであればJPOが一番手っ取り早いし確率が高いであろう、ということは大前提として、いくつか注意点を。

  1. JPOは必ずしも良いポストばかりではない。上司やオフィスによってはJPOをコピー取り程度にしか考えていないこともあるし、行ってみたら実は仕事がろくになかったとか、そういうこともある。特に外務省選考の場合、どの国際機関にいくか、部署に配置されるかは結構運によるところがあるので、自分の希望とは全く違うこともあり得る。
  2. JPOはP2(基本、一番下)のポジションで始まるし、JPO2年後にいきなりP3に上がれる人は結構少ない。20代や30歳前後ならともかく、今まで10年近く勤務経験があるような人にとっては、JPOとしてP2で入るのはもったいないということもある。
  3. 自分が望むようなポストや、良いポストでなかった場合、2年間拘束されるのはキャリア上結構ダメージが大きい。NYのようにネットワーキングしやすい場所であれば、割り切ってネットワーキングに精を出すという対応もできるが、小規模なカントリーオフィスだとそれもそんなにままならない。必死に訴えればJPO中に違うポジションに移ることも不可能ではないが、いずれにせよ時間と体力の浪費はきついし、なによりそういう状況は精神的に相当きついと思う。
  4. JPO後は当然国際機関に残ることを希望するという前提で周囲が動く。日本政府はそのためにお金を出しているのだから当然だし、他のJPOも大体国際機関で働くことをずっと希望してたり、夢だったりするような人が多いので、当然国際機関になんとしても残りたい、どうやって生き残るかという方向になる。しかし、国際機関のバジェット自体縮小傾向にある中で、どうしても国際機関で生き残らなければいけないのだという感覚だと精神的にかなりきついのではないかと思う。中満泉さんが典型例であるように、最近は一旦民間やNGO、アカデミアに出てから上のポジションで戻ってくるという人も多い。今や国際機関の大方針が「非伝統的パートナー(民間等)との連携促進」になっていて、今後もその流れはどんどん強まっていくと考えられる中で、国際機関にしがみつくというキャリアパスにどれだけ意味があるのか、個人的には疑問がある。

特に4番目は個人的に思うところがあり、ずっと国際機関の閉じられた世界で働いてきたシニアな人達はどっぷり国際機関の論理に浸かっていて、他の組織とのネットワークも少ないし、意思疎通もできないように見えます。

どうやって民間やNGO、アカデミアと連携するか、どうやって非伝統的な資金を動かすかが一番のテーマとなってきている中で、ずっと国際機関で働き続けるというのは長期的に見ると結構リスキーな気がします。