国連機関と国際金融機関の違い

国連機関と国際金融機関って何が違うの?ってことなんですが、

まずお金を持ってくるモデルが違う。国連機関はドナー国がお金を出して、ドナー国から来たお金は返す必要が無い。一方で、国際金融機関の資金調達のメインは金融市場(ドナー国からの拠出もあるけど)。金融市場で債券を発行して、市場からお金を調達してる。なので、Moody'sとかS&Pから格付けも貰ってるし、日本で世銀債を買ったりもできる。市場から調達したお金は借りてきたお金なので、当然返さないといけない。

このモデルの違いは、運用できる額の違いに直結する。国際金融機関は国連機関よりずっと大きなお金を運用できるし、ドナー国との関係性も変わる。国連機関は全ての資金をドナー国に頼らないといけないので、必然的にドナー国は絶対的な「金の出し手」になる。

モデルの違いは、資金の運用方法の違いにもつながる。国連機関からもらったお金は基本的に返す必要が無い。なぜなら国連自体もドナー国にお金を返す必要が無いから。でも、国際金融機関はお金を債券買った人に返さないといけない。なので、国際金融機関の運用するお金は「ローン」であって、国際金融機関からお金をもらった側はどこかで返済する必要がある。

この資金の性質の違い、運用額の違いはビジネスモデルの違いにつながる。国際金融機関は開発途上国といっても、ある程度開発が進んだ国でのインフラ事業などに多くのお金を出す。国やプロジェクトに返済能力があることが前提になるからだ。額も大きい。一方で、国連機関の扱うお金は、それなりに発展が進んだ国でドナーとしてプレゼンスを出すには額が小さすぎる。必然、国連機関は世銀や民間企業がお金を出せないような、紛争地帯、再貧困国、人道支援、平和構築といったところを中心にお金を出すことになる。

ビジネスモデルが違ってくると、集まってくる人たちの性格も違ってくる。国際金融機関にはインフラや金融の専門家、エコノミストなどが多く集まってくる。国連機関には人道や平和構築、緊急支援の専門家が多く集まる。もちろん機関によって違いはあるが、国連というのは突き詰めるとやっぱり「人道、平和構築、緊急支援」の組織であって、国際金融機関は「金融、インフラ、開発援助」の組織なのだと思う。

 

ちなみに、給料や待遇は基本的にIMF>国際金融機関>国連機関という感じである…