国連や世銀におけるネットワーキングの意味
国際機関での就職や生き残りについてはとにかくネットワーキングの重要性が強調されます。
曲者なのが、ネットワーキングと言った時にどういうネットワーキングを意味しているかは結構みんな違うということです。なので、特に国際機関でのキャリアをスタートしたばっかりだと、とりあえず一杯知り合いにならなきゃ!と焦ってむやみやたらとランチやコーヒーに人を誘うということになりがちなのですが…
いろいろと見てきて思うことは、国際機関での就職や生き残りに有効なネットワーキングというのは、「自分の能力や性格を相手がある程度把握し、評価されている」深い関係性のことだということです。
自分がHiring Managerだったとして、一度ランチやコーヒーをしただけの相手(しかも何となく仕事目当てで近づいてきてるのがわかる相手)に仕事をあげるでしょうか?ほとんどの人はそんな人に仕事をあげることはないと思います。せいぜいが今出てるVacancyを教えてあげるだけというところではないでしょうか?
その人の能力や性格をよく知っていて、評価していればこそ雇ってみたいなとも思うし、他の人に紹介したいとも考えるのではないかと思います。
ですので、もちろんコーヒーやランチからそういった深い関係に持っていけるスキルがあれば別なのですが、そうでなければやみくもに知り合いを増やすということはあまりお勧めしません(ネットワーキングが疲れる人は特に)。
逆に有効だと思うのが、仕事の中で関わる人を増やすという方法です。仕事を一緒にしていれば、当然自分のパフォーマンスを相手は把握できるわけです。「真面目にやっていれば誰かが見てくれる」というわけではありませんが、結局のところ仕事を頑張り、その頑張りを目撃する人を増やすというのが一番有効なネットワーキングの構築方法だという気がします。そうやって評価されると、自然と「このポジション、空いてるけど興味はあるか?」というような声がかかってきます。
国連と世銀のJPOが始まったので、給料の話
今年も国連と世銀のJPOが始まりました。世銀はリクルートメントミッションとミッドキャリアも並行して進んでいます。
今回は国連と世銀の給料の違いについて書いてみたいと思います。
1. 国連と世銀の給料テーブル
国連と世銀ではグレードのシステムが違うため正確な比較は難しいのですが、必要経験年数をもとにざっくりと分類すると下記のようになると思います。
通貨は米ドル、勤務地は比較のためにワシントンDCを想定しています。
国連の給料はhttps://info.undp.org/gssu/onlinetools/SalCalcInt/SalCalcInt.aspxから、世銀の給料は
http://documents.worldbank.org/curated/en/669791531496342387/pdf/2018-Review-of-Staff-Compensation-for-the-WBG-and-Awards-Allocations-Public-Disclosure-07102018.pdfの各グレードのMidpointの給料を拝借しました。
一目瞭然ですが、世銀の方が1.5-2倍程度高く、特に上のグレードに上がれば上がるほど差が開いていくことがわかります。
ちなみに、国連P2でニューヨークやジュネーブに勤務してたりすると、まったく貯金は貯まりません。なんとか生活できるというレベルです。
2. なぜ世銀の方が高い?
世銀は給料を決定する際にMarket Referenceから算出しているようです。要は、転職市場で同じ人を普通の会社が取ろうとしたらどれぐらいかかるか?という目線です。一方で国連職員の給料は基本的にドナー国の一存で決められます。
2000年以後、国連職員は給料カットが行われていったのに対し、Market Referenceをする世銀は世間の賃金増に合わせ順調に上がっていきました。結果として給料差はどんどん大きくなりました。
下記を見ると、例えば2005年時点では国連P3と世銀GFの給与差はまだそれほどなかったことがわかります。
国連:2005年時点でのワシントンDCでのP3給与:85,245USD
国連:2019年時点でのワシントンDCでのP3給与:76,959USD
世銀:2005年時点でのワシントンDCでのGF給与:88,140USD
世銀:2019年時点でのワシントンDCでのGF給与:123,100USD
http://ficsa.org/component/sobipro/?task=download.file&fid=37.1913&sid=1462&Itemid=0
3. 福利厚生
世銀の福利厚生は、アメリカで勤務している限り教育費が出ません。一方で国連では教育費の75%、最大で30,000USDほど教育費が手当てされます。給与差を考えれば、子供が2-3人以上いる人であれば、国連の方がトータルの収入は大きくなるかもしれません。
(ただし、世銀以外の開発金融機関では教育費も出ますし、世銀でもアメリカ以外の国で勤務していれば支給されますが。。。)
JPOで国連に入ることの注意点 その2
以前書いた記事の続きというか補足です。
この記事で「特に外務省選考の場合、どの国際機関にいくか、部署に配置されるかは結構運によるところがあるので、自分の希望とは全く違うこともあり得る。」と書きました。
これとも関連するのですが、JPOでは「予算がほとんど無い、あるいはガンガン減っている機関に派遣される」場合があります。これは非常に危ないです。
JPOは日本政府にファンディングを受けますから、JPOの間のお金は問題ありません。
ただ、予算が無い機関の場合、採用を凍結してたり、JPO3年目の延長費用も負担しないことなどが普通にあります。
国連に属してるとは言っても、同じ機関に残るのに比べ、違う機関に移るのは難易度が上がります。
予算が無い機関の場合、JPO2年後にすぐに他の機関で採用される必要が出てくるため、生き残りが非常に難しくなります。
JPOで派遣される場合は、自分が行く機関の予算規模と過去数年の予算傾向、Core Resourceの割合などは見ておいた方が良いでしょう。
五分で準備できるチーズケーキ
ケーキは便利です。美味しいですし、食べるだけでみんな和みますよね。
妻の機嫌も良くなるし、オフィスに持っていけば会話の端緒にもなる。上司との会話も弾みます。
ちょっとした差し入れをするだけで、ずいぶん人間関係も良くなるし、色々な話が聞けるものです。
でもケーキ作りって面倒くさい、生クリームとか普段の料理でそんなに使わないし残っても困る…という人のために牛乳で作る超簡単なベークドチーズケーキのレシピです。
食材
クリームチーズ200g(一箱)
卵二個
牛乳200g
レモン絞り汁(半個分)
小麦粉大さじ三杯
砂糖65g
レシピ
1.上記材料をフードプロセッサーに突っ込んで、よく混ぜる
2.型に入れてオーブンを余熱(170℃)
3.余熱終わったら型を入れて、50分待つ
出来上がり!
取り出して粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やします。
出来上がり直後は柔らかいですが、冷やしたらしっとりします。
ケーキでfamily/office politicsを制しましょう!
国連機関と国際金融機関の違い
国連機関と国際金融機関って何が違うの?ってことなんですが、
まずお金を持ってくるモデルが違う。国連機関はドナー国がお金を出して、ドナー国から来たお金は返す必要が無い。一方で、国際金融機関の資金調達のメインは金融市場(ドナー国からの拠出もあるけど)。金融市場で債券を発行して、市場からお金を調達してる。なので、Moody'sとかS&Pから格付けも貰ってるし、日本で世銀債を買ったりもできる。市場から調達したお金は借りてきたお金なので、当然返さないといけない。
このモデルの違いは、運用できる額の違いに直結する。国際金融機関は国連機関よりずっと大きなお金を運用できるし、ドナー国との関係性も変わる。国連機関は全ての資金をドナー国に頼らないといけないので、必然的にドナー国は絶対的な「金の出し手」になる。
モデルの違いは、資金の運用方法の違いにもつながる。国連機関からもらったお金は基本的に返す必要が無い。なぜなら国連自体もドナー国にお金を返す必要が無いから。でも、国際金融機関はお金を債券買った人に返さないといけない。なので、国際金融機関の運用するお金は「ローン」であって、国際金融機関からお金をもらった側はどこかで返済する必要がある。
この資金の性質の違い、運用額の違いはビジネスモデルの違いにつながる。国際金融機関は開発途上国といっても、ある程度開発が進んだ国でのインフラ事業などに多くのお金を出す。国やプロジェクトに返済能力があることが前提になるからだ。額も大きい。一方で、国連機関の扱うお金は、それなりに発展が進んだ国でドナーとしてプレゼンスを出すには額が小さすぎる。必然、国連機関は世銀や民間企業がお金を出せないような、紛争地帯、再貧困国、人道支援、平和構築といったところを中心にお金を出すことになる。
ビジネスモデルが違ってくると、集まってくる人たちの性格も違ってくる。国際金融機関にはインフラや金融の専門家、エコノミストなどが多く集まってくる。国連機関には人道や平和構築、緊急支援の専門家が多く集まる。もちろん機関によって違いはあるが、国連というのは突き詰めるとやっぱり「人道、平和構築、緊急支援」の組織であって、国際金融機関は「金融、インフラ、開発援助」の組織なのだと思う。
ちなみに、給料や待遇は基本的にIMF>国際金融機関>国連機関という感じである…
昇進しなければいけないというわけではない
前回のポストで、P3やP4で国連に残るかどうかというのは重い決断、と書きました。
書き方が少し悪かったのですが、これは別にP3やP4で残り続けることを否定するものではありません。
むしろ、P5やD1に昇進するよりもP3やP4で仕事し続けることを能動的に選ぶのも、十分あり得る選択肢だと思います。
大きな理由は国際機関の給与、責任体系にあります。
P4の単身者がニューヨークで働いた場合の給与は年間107,385.04ドルです。D1だと146,806.13ドルです。
一方で、その他の家賃補助や教育費用補助は変わりません。
P4とD1というのは金融業界でいうとSenior AssociateとDirectorぐらい責任の重さが違うポジションで、そこで40,000ドルの差というのは(日本だとこんなもんかなという感じもしますが)、結構信じられないくらい小さいのです。
ましてたいていの場合は夫婦共働きで、どちらかが必死で稼がなければいけないという状況でもなく、一方で昇進するにしたがって忙しさも組織内での政治的な争いもどんどん激しくなっていきます。
結局P3やP4ぐらいが「給料も悪くないし、自分の生活とバランスもとれるし、不要なストレスもかからないし、仕事は地に足のついたものでそれなりに楽しく、一番良い」という判断になるのは、結構頷けることなのです。